事例・みどりのネットワーク
安定・確実なドアツードアでの輸送を実現 全国ナンバー1鉄道輸送網「みどりのネットワーク」
1959年の設立以来、全国通運はJR貨物の主力関連企業であり国内を代表する通運事業会社として「安全・確実な輸送」という至上命題を追求してきた。同社が提供する鉄道の定時性・高速性を活かした高品質なドアツードアでの輸送サービス。それを可能にするシステムのひとつに、地域に密着した220の全通系通運事業者から構成される全国通運業連合会(全通連)加盟各社による鉄道輸送網、通称「みどりのネットワーク」だ。
同社が私有するのは、各種12フィートコンテナ二種(通風コンテナ/無蓋コンテナ)と大型トラックと同等の積載容量を持つ31フィートコンテナ(ウイング式/冷凍機能つき)。その他、鉄道輸送から船舶による代替輸送が可能な40フィートラックコンテナも有している。なかでも将来的な輸送効率を目指すうえで特筆したいのが31フィートコンテナだ。同コンテナ最大の特徴と利点について、全国通運 開発営業部は「10tトラックからそのままモーダルシフトが可能であること」を挙げる。
いまや鉄道輸送において、国内随一の鉄道輸送網に成長した「みどりのネットワーク」だが、その礎となる「全通連」が設立されたのは戦後復興期の1950年のこと。その後、同連合会の共同出資により事業統括会社として1959年に全国通運株式会社が誕生した。そうした企業設立背景と現在のシェア状況の関係性について、全国通運 開発営業部はこう解説する。
220の全通系通運事業者から構成される「みどりのネットワーク」
「全国通運はJR貨物と全通連加盟各社が出資をしている持株会社でして、その加盟事業者同士のつながりを『みどりのネットワーク』と呼称しています。設立当初、政府米の輸送元請を担っていたという歴史背景もあり、さまざまな食品メーカーさまとのつながりが生まれました。現在、私どもが提供する輸送サービスの利用比率は、大手食品飲料メーカーの製品や米・野菜など生鮮食品取り扱いが大きな割合を占めています。長年にわたる食料品輸送の経験と『みどりのネットワーク』を活用したサービスで、さまざまなご要望にお応えしてきました」
食料品の輸送という動脈物流の一翼を担うなかで、全国通運は輸送ノウハウとフォロー体制を確立。さらに全国津々浦々に拡がる『みどりのネットワーク』を駆使することで、新たなスキーム構築とモーダルシフト推進拡大につながる提案を積極的に続けてきた。その代表例のひとつに、2015年に実施された「イオン鉄道輸送研究会 専用列車による環境負荷低減の取り組み」がある。日曜日に運休となるダイヤを活用し、イオン株式会社をはじめとする異業種の荷主企業の鉄道輸送のモーダルシフトを推進とCO2排出量削減を目指したもので、イオングローバルSCM株式会社(以下、イオングローバルSCM)およびJR貨物(日本貨物鉄道株式会社)との共同プロジェクトだ。同取り組みは、その功績が認められ平成27年度の経済産業大臣表彰」を受賞している。
長年にわたる食料品輸送の経験と『みどりのネットワーク』を活用したサービス
「この取り組みでは専用列車とコンテナを準備し、センターに納品している各企業さまと一緒になって列車を貸し切り、5年間にわたって東京-大阪間の共同での往復運航を実施しました。その際、より効率的な輸送を目指すため、弊社のネットワークを使った片道利用の輸送荷物マッチングサービスも提供させていただきました。これは『みどりのネットワーク』に加盟する各通運事業者間で荷主さまを共有することで実現しているサービスです。片道利用のお客さまのご要望をお伺いするためなにかと調整が必要となるのですが、そういった点でも当社は円滑に仲介できるノウハウを有しております」無駄を省き、効率を高めようとする動きが社会全体に広まっているなか、物流の領域でこうしたマッチングサービスが提供できるのは大きな強みと言えるだろう。同時に、環境問題やサスティナビリティへの意識が高まるなかで、企業が輸送に求めるものへの変化も感じているという。
『みどりのネットワーク』で、片道利用の輸送荷物マッチングサービスを実現
「モーダルシフト推進の大テーマとして環境負荷の軽減がありますが、昨今は鉄道輸送を導入すること自体が企業のイメージアップに貢献していると感じています。数十年前までは、主にコスト削減の観点での鉄道輸送の導入が一般的でしたが、弊社がお取引させていただいているなかにもエコやサスティナビリティといった側面も踏まえて輸送モードを移行されたお客様もいらっしゃいます。当社では、輸送能力の強化と安定供給といった点はもちろん、より企業さまのヴィジョンに沿った最適解を導くお手伝いをさせていただきたいと考えております。今後は、サードパーティロジティクスの分野においても弊社が有する『みどりのネットワーク』と多岐にわたる輸送ノウハウをご活用いただけるよう、鉄道輸送モードの領域開拓を積極的に行なっていければと考えております」